ザウバイ・イラク副首相=AP
報道によると、23日昼、副首相の自宅や事務所などがある敷地内で、爆弾を積んだ自動車が爆発。ほぼ同時に、同じ敷地内にある礼拝所で、副首相が参加していた集団礼拝中に爆発物を持った男が自爆したらしい。
副首相は爆弾の破片を肩や腹に受けて負傷した。2件の爆発により副首相の政治顧問と護衛ら6人が死亡し、副首相の兄弟を含む15人が負傷した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、自爆犯は、護衛の一人だったとの情報があると報じたが、確認されていない。
アルカイダ系の武装組織は事件発生に先立ち、ウェブサイトで声明を発表。占領軍への協力者全員を攻撃する方針を強調するとともに、ザウバイ氏やハシミ副大統領らスンニ派の政府幹部も「裏切り者」として名指ししていた。
アルカイダによる自爆テロの標的はこれまでシーア派が多かったが、最近ではスンニ派を狙ったテロも頻発。特にスンニ派人口の多いアンバル州では、「反アルカイダ」を宣言した部族の地元で塩素ガスによる攻撃が起きた。首都西部のザウバイ氏の地元でも、政府協調派と反政府派との間でスンニ派同士の反目が強まっていたという。
昨年5月に発足したイラクの正式政府では、大統領、副大統領2人、首相、副首相2人を、それぞれシーア派、スンニ派、クルド人勢力の3派が分け合っている。行政面で強い権限を握る首相のマリキ氏は同国最大多数派のシーア派だが、その下にスンニ派のザウバイ副首相とクルド人のサリフ副首相がいる。
要人を狙ったテロとしては、2月26日にも、シーア派のアブドルマフディ副大統領と公共事業相がいた政府庁舎内で爆発が起き、2人とも負傷。22日には潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と首相の共同会見場近くに迫撃砲弾が着弾した。