●公示地価「元気な経済」反映
07年公示地価で、商業地としては上昇率が全国の上位10地点に入った名古屋市の3地点のうち2地点は、昨年値上がりが顕著だった名古屋駅前の一等地の「周辺」に位置しているのが特徴だ。JRセントラルタワーズ、ミッドランドスクエアなどが地価上昇のテコとなっており、林立する高層ビル群は好景気に沸く名古屋を象徴する存在になりつつある。
この2地点の名古屋駅からの距離はそれぞれ180メートルと500メートルほど。地価はまだ比較的低い。上昇率が全国2位の名古屋市中村区名駅2丁目は1平方メートル83万円、7位の同市西区牛島町は同61万円に過ぎない。
「地元の人にとっては名古屋駅から『遠い』感覚だが、東京の感覚では近いし、一等地でもある。家賃・賃料も割安で、魅力的だ。不動産ファンドなど、東京の資本が買いに来ている」。不動産鑑定士の小川隆文氏は、地価上昇の範囲が本来の一等地から周辺へと広がっている状況を指摘する。
全国2位の地点の近くでは昨年、市バス・旧那古野営業所の用地約9400平方メートルが当初見込みの5倍近い152億円で売却された。購入したのは総合不動産業「東京建物」(東京都中央区)で、地上18階建ての賃貸住宅棟(256戸)と同21階建ての事務所棟などを建設する予定だ。
同社は「名古屋駅から少し離れているが、歩くと近い。いずれ駅前市街地が形成される場所だ。名古屋経済は元気で、名古屋はトヨタ自動車など優良企業が多く、魅力的な地域。バブルの頃と違い、今は収益で土地代を出すことが定着してきた。地価上昇は自然な流れだ」(広報担当者)と言う。
同7位地点の南側では今年1月、再開発ビル「名古屋ルーセントタワー」が完成した。地上40階・地下3階建てで、高さ180メートルの超高層オフィスビルだ。
同ビルの開発に携わった「牛島市街地再開発組合」の長谷川健司事務局長補佐は、「すでに8割のテナントが埋まり、残りも順調だ。今までは桜通、錦通、広小路通など線状に発展していたが、駅北側も含めて発展が面状になってきている。開発の余地はまだある」と話している。
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