04年の北朝鮮からの総輸入額は約176億円で、そのうちアサリは約40億円を占める主力品目だった。だが、北朝鮮産の輸入は、制裁ムードが強まった05年ごろから激減。06年10月、改正外為法に基づく輸入全面禁止など北朝鮮に対する日本の追加制裁が発動され、その後はすべての輸入がストップした。入れ替わるように急増しているのが中国産だ。
北朝鮮産アサリの輸入が急増した背景として、貝毒が確認された中国産は通関時に検査が必要であることなどがあげられていた。経費がかさむことや、検査で輸入が不許可となるリスクが輸入業者の負担となり、中国産を北朝鮮産と偽る手口が関係者間で指摘されるなど、当時も輸入アサリの「産地偽装」が指摘されていた。
こうした中、今月8日に山口・下関港に入った中国船が波紋を広げた。
「中国産アサリ」を積んで中国から入港したという中国船の船長らが、北朝鮮・海州などに寄っていたことを報告しなかった疑いで逮捕された。船員の一部は「北朝鮮でアサリを積み、下関に運んだ」と供述。下関海上保安署などは北朝鮮産アサリの偽装輸入の疑いが強まったとして22日、外為法違反の疑いで山口県内の輸入業者などを家宅捜索した。
05年以降、下関市の水産物輸入業者が、北朝鮮産アサリを中国産と偽って販売したとして有罪判決を受けるなど、北朝鮮産の偽装問題が表面化。農林水産省もDNA鑑定での産地検査を実施するなど対策を進めている。
http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY200703230249.html