最近5年間の採用動向の変化
調査は2月下旬から3月にかけて、各業界の代表的企業に、08年春の採用予定と07年春の実績などを尋ねた。企業の一部を入れ替え、毎年この時期に実施している。
08年春の採用数は「増やす」が41社(前回52社)、「前年並み」が37社(同39社)、「減らす」が7社(同1社)、「未定」が15社(同8社)だった。
採用増は製造業で目立つ。デジタル家電などが好調な電機は大半が「増やす」と回答した。シャープは「液晶テレビ、携帯電話など重点事業の拡大とグローバル化への対応強化」で大卒を倍増させ、高卒と合わせて07年実績の1.6倍の900人を予定する。
ソニーは「長期を見据えた若手の確保を行う」と、07年実績から2割増の500人を計画する。07年実績が06年の3倍近くに上る東芝は、08年も1500人規模(中途を含む)の採用を続ける。
自動車では、トヨタ自動車が中途・通年採用などを含め3508人を予定。高卒も手厚く採り、4199人を採用した92年の水準に近づく。「次世代技術の開発強化や国内外市場への柔軟な生産対応に努める」という。ホンダは研究部門の拡充などのため、技術系を中心に1割増の1390人と、2年連続で1000人を大きく超える計画だ。
07年春に大量採用したメガバンクも依然、意欲が強い。みずほフィナンシャルグループが約2500人、三井住友銀行が01年の合併以来最高の1600人、三菱東京UFJ銀行が1300人と、バブル期を思わせる人数の確保に動く。
「減らす」と回答した7社も、大和証券グループが「引き続き高水準」、全日本空輸が「客室乗務員を除けば07年並みか増加」としている。
一方、団塊世代が大量定年を迎える問題への対策を自由回答で尋ねたところ、再雇用制度を活用するとの答えが多く、「特に製造系を中心に採用増を図る」(サントリー)など新卒採用を挙げた企業が14社。中途採用の拡大も12社だった。
中途採用は06年度の実数を74社が回答し、約4割の28社が、社会人キャリア数年の「第二新卒」を採用した。「多様な人材を確保するため就業経験3年未満の方を募集した」(ホンダ)などと、若手への需要は強い。
中途採用の年齢制限は66社が「制限なし」。「40歳」「45歳」までとする企業もあり、キャリアを積んだ人材を幅広く採る姿勢も見える。