英二さんは、離婚歴があり子連れの松居との結婚(01年)を、最後まで認めないままだった。しかし、密葬には夫婦で参列した。英二さんの意志に沿った参列だったのかとの問いに、英一郎は「僕はそう思っています」と言い切り「(松居は)一心に父の顔に向かって、話し掛けていました」。妻のけなげな様子を明かすとともに、最後に心が通じ合ったと確信した。
というのも、英一郎は「結婚反対は、父の最後の教育だった」と考えたからだという。「結婚もそうですが、大学も、この世界を志した時も、父は反対することから始まった。僕は認めてもらいたい一心で、努力してこれた。俳優として僕が今日あるのも、そのおかげです」。
英一郎は「(密葬に)一緒に参列しようと言った僕に『当然です』と来てくれた妻に感謝しています。おかげで、夫婦の絆(きずな)も信じられないくらい強まりました」と語った。
とはいえ、英二さんには、英一郎の子供を孫として抱きたい思いもあった。英一郎は「努力はしたんですよ。こればかりは授かり物ですから。でも、これも大きな親不孝の1つですね」。昨年夏に仕事帰りに実家に寄り、声を掛けたのが最後だった。妹からの電話で16日に病院に駆け付けた時はすでに意識がなかった。「親孝行をできなかったおわびと、おやじの名前を汚さないように精進するから安心して旅立ってほしいと声を掛けました。父の息子に生まれたことを誇りに思っています」と涙をぬぐった。
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