20日に在留特別許可を受けた中国籍の李峰さん(19)と妹の金花さん(17)は「本当にうれしい」と喜びを語った。中国残留婦人とは血縁関係がないなどとして、退去強制処分を受けてから約2年。千葉市内で2人で暮らす兄妹の願いがかなった。
この日午後3時。東京都港区の東京入国管理局から、2人が満面の笑みで出てきた。金花さんは「これまでは身分を証明出来るものもなく不安な生活だった。これで安心してお兄ちゃんと暮らせる」と話した。
2人は中国・黒竜江省生まれ。約10年前に「日本にいるおばあちゃんの看病に行く」と父母に連れられて来日した。峰さんは「外国に行くなんてすごいと思った。飛行機に乗るのがうれしかった」と振り返る。来日後は日本語を学びながら県内の小中学校に通った。
転機を迎えたのは04年11月。家族そろって呼び出された東京入国管理局で、父親が残留婦人の実子ではなく、おいだったことが発覚。家族4人とも退去強制処分を受けた。兄妹はそれまで事情を知らなかった。
金花さんは「入国などの制度について何も知らなかった。不法と言われても意味がわからなかった」と話す。
父母は05年に中国に戻ったが、兄妹は「帰国すれば中国で小中学校からやり直すことになる。将来が不安」として残り、支援団からの寄付やアルバイトで暮らしてきた。
同時に、処分の取り消しなどを求めて東京地裁に提訴。「父親の違法行為の責任を子どもに問うことは出来ない」などとして、峰さんは一審、二審で、金花さんは一審で、いずれも国に勝訴していた。
今回の許可で、兄妹は両親のいる中国への一時帰国も可能になる。両親と離れて約2年で、峰さんと金花さんは「こっそり行って、両親を驚かせたい」。
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