さよならポケベル—。
NTTドコモは3月末でポケットベルサービス「クイックキャスト」を終了する。外回りの営業担当者の必須ツールだったポケベルは、若者の間で爆発的に普及。「ベル友」ブームを巻き起こすなど社会や風俗にさまざまな影響を与えた。しかし携帯電話やPHSの普及が1億件を突破する中で、その役割は次第に低下。ドコモがサービスを終えることで、ポケベルサービスを提供する事業者はYOZANと沖縄テレメッセージの2社になる。
ポケベルは68年に日本電信電話公社(現NTT)が始め、NTTから分離したNTTドコモに引き継がれた。しかしポケベル普及のけん引役を果たしたのは、通信自由化で登場した地域のテレメッセージ系事業者。そして95年に端末の売り切り制が始まったことも大きい。
電気通信事業者協会によると、契約数のピークは96年6月の1078万、うちドコモは649万件に達した。数字や文字を友達同士で送りあうベル友ブームが起こり、ポケベルにメッセージを送るために公衆電話に行列ができるといった社会現象も起きた。
一世を風靡(ふうび)したポケベルだが、携帯電話の普及でメールや双方向のコミュニケーションが実現。需要は急速に減少し、新電電系の事業者は相次いでサービスを停止した。
ドコモも04年に新規の受け付けを停止するとともに、07年3月末でのサービス終了を表明していた。同社のポケベル利用者は2月末時点で13万6000件。大半の利用者が携帯電話と兼用しており、終了しても影響は少ないと判断した。