花粉症が悩ましい季節。東京都立川市で開かれたシンポジウムで、名古屋大名誉教授の造林学者、只木良也さん(73)=写真=が、花粉症の原因物質とされる「スギ主犯説」に異論を唱えた。自身も10年前から花粉症にかかり、くしゃみを我慢しながら「環境保護に役立つスギ林を一方的に悪者と決めつけないで欲しい」と、スギの復権を訴えた。
シンポジウムはNPO「森づくりフォーラム」の主催で17日に開かれた。講師に招かれた只木さんは、国土の森林の約4割を占める人工林の研究で、長年スギ林に分け入る生活だったという。
冒頭、「国民病と言われる花粉症の主犯格は本当にスギなのか」と疑問を投げかけた。花粉症は約40年前、スギのない英国で騒ぎ出したのが始まりとされているという。
国内でもスギがほとんどない北海道で発症者がおり、山間部より都心部の方が発症者が多いと指摘。只木さんが花粉症にかかったのも、名古屋市郊外から中心部に引っ越した3年後だったという。「主原因はトラックの排ガスなど別にあり、スギ花粉が手を貸してしまっているだけでは」
只木さんの主張は「(スギ花粉は)巻き込まれて共犯」説だ。スギの二酸化炭素吸収量が他の針葉樹に比べて突出していることに着目。国内の広大なスギ林が地球温暖化防止の点からも見直されるべきだ、と訴えた。
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