【なぜかバカ売れ】
今月12日、東京都千代田区の地下鉄大手町駅の構内に突如、ガシャポンの販売機22台が設置された。ここは高層オフィスビルの地下入り口にもなっており、通行人の大半は会社員だ。
なんで、こんなところに? 素朴な質問を東京メトロ関連事業部の平山和宏課長補佐にぶつけてみたところ、こんな答えが返ってきた。
「東京メトロは2004年4月の民営化以降、鉄道事業以外の売店やコインロッカー、飲料自動販売機などの開発にも力を入れてきました。その過程で、駅構内の小さな空きスペースを有効活用しようと、ガシャポンの設置が(バンダイ側からの働きかけもあり)出てきました」
小物入りカプセルにはいくつかの呼び方があるが、ガシャポンはバンダイの登録商標だ。
05年8月、後楽園駅に最初のガシャポン販売機が設置され、大手町駅で9駅目になるという。
それにしても、ビジネス街のど真ん中で売れるのだろうか。先の平山氏によると、「携帯ストラップやウルトラマンの人形など、大人にもウケそうな商品が売れています」。
その売れ方がハンパじゃないようで、「子供と違ってほしい商品が出てくるまで買う人も多く、設置から間もないのに、売り上げのケタが1ケタ間違っている(多い)のではと思うほど、よく売れている」(同)というホクホクぶりだ。
3月中に、半蔵門線の3駅(清澄白河、住吉、錦糸町)にも設置予定となっている。
【有効利用】
ガシャポンは、(1)電源を必要としない(2)場所をとらない−という特長があるため設置しやすい。大手町駅構内の場合はわずか1.38平方メートルのところに22台の販売機が設置されている。
ただ、どこでも設置できるかというと、そうではないらしい。
「実は地下鉄駅構内の通路にも国道や都道、区道などの区別があり、国道と都道にはガシャポンは設置できません。国道と都道は、乗客の利便性向上を目的としたものしか置けないため、嗜好性商品に分類されるガシャポンは道路の占用許可が下りないのです」
地下鉄駅構内の通路にも地上の道路のような区分があったとは驚きだ。ガシャポンが設置されているのは、そうした制限がない区道などに限られてしまうため、人気があってもそう増やすことはできないのだ。
一方、東京メトロではDVDの自動レンタル機「アスタラビスタ」も駅構内に設置しているが、こちらは「乗客の利便性向上のためのサービスとして許可が下りやすい」という。昨年8月から設置を始め、現在、大手町駅など16カ所に設置。4月ごろまでには30カ所に増えるという。
JR各社もそうだが、駅の空間の有効利用は鉄道各社の至上命題になっている。
ZAKZAK 2007/03/20