自民党の通信・放送産業高度化小委員会(片山虎之助委員長)は20日午前の会合で、今国会に提出予定の放送法改正案にNHK受信料の支払い義務化を盛り込まないことを決めた。
支払い義務化は、今秋の臨時国会以降に先送りされる。関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題を受けて総務省が検討している新たな行政処分は、放送法改正案に盛り込んだ上で、再発防止に向けた放送業界の取り組みを見極めるため、施行を当面凍結することで一致した。片山委員長と菅総務相は同日午後、放送法改正案について対応を協議する。
受信料問題では、菅総務相が義務化の前提として、NHKに受信料を2割前後値下げするよう求めている。しかし、NHKは具体的な値下げ計画を示しておらず、小委は「現状では義務化に国民の理解が得られない」と判断した。
この日の小委で橋本元一NHK会長は、9月にNHKがまとめる受信料体系の見直し策に、受信料の義務化による増収で可能となる値下げ幅の見通しを示す考えを示した。ただ、今国会での改正案提出に間に合わないとした。橋本会長は報道陣に対し、「2割の値下げは1200億円の減収になり、とても採り得ない。(先送りは)やむを得ない」と述べた。
番組捏造に対する新たな行政処分では、総務相が放送局に再発防止計画の提出を求め、内容を公表するなどとする総務省案が示されている。
これに対し、放送業界は、放送倫理・番組向上機構(BPO)の機能強化で自主的に再発防止に努めるとしている。小委は業界の自主的な対応を尊重し、総務省案に沿って放送法を改正した上で、施行は凍結することにした。