計画は、二つの地震が同時に発生し、死者1万8000人、約36万棟が全壊するという最悪のケースに備えるために策定。被害想定に対して、対応できる地元自治体の人員や備蓄を割り出し、足りない部分を地域別に派遣する。
救援や救助にあたる警察庁、総務省消防庁、防衛省の総数は約12万2000人。すでに計画を立てたマグニチュード8クラスの東海地震の約11万6000人をしのぐ数となった。
物資は被災後1週間分を想定。愛知県へ飲料水約2万7000トン、食糧約2300万食、高知県へ毛布約6万4000枚、簡易トイレ約1600基など地域別に決めた。「警視庁の790人を名古屋市の名城公園へ」「和歌山県立橋本体育館に食糧約30万食」など具体的な計画になっている。
しかし、今回の計画は幹線道路が使え、阪神大震災の時のような渋滞も想定していない。道路が通行止めになった所は、海上輸送に振り替えるという。沿岸の被災地は大津波による被害が想定される。耐震性のある港湾であれば接岸できるとみているが、スマトラ沖地震による大津波のように漂流物によって接岸できない恐れはある。
さらに課題が残るのが医療だ。専門知識を持つ災害派遣医療チーム(DMAT)は217チーム必要とされているが、派遣可能数は109チームと半分にとどまる。昨年11月現在、全国でDMATを持つ195病院のうち、86病院が被災地内にあるため他地域への派遣のめどは立たないとみる。不足分は、一般の医師や看護師らでつくる救護班などで補うとしている。
http://www.asahi.com/national/update/0320/TKY200703200443.html