略式起訴されたのは、機械保修課長のほか、同課係長(52)▽同課作業長(45)▽同課配管担当(43)▽関電子会社の旧日本アームの美浜作業所課長(58)=肩書はいずれも当時。罰金は機械保修課長と係長が50万円、他の3人は同30万円が相当とした。
事故は04年8月9日に起きた。放射能を含まない冷却水が循環する2次系配管の肉厚が薄くなって破裂。協力会社の社員5人が熱水を浴びるなどして死亡、6人が負傷した。
検察によると、5人は04年8月初めまでに、1976年の3号機の運転開始以来、一度も点検されていない配管を発見したり、部下から報告を受けたりしながら、適切な事故の回避措置を怠った。一方で、(1)関電にも、2次系配管の管理指針を策定しながら社内で管理方法を周知徹底しないなど、組織としての問題があった(2)破裂した配管は28年間にわたり未点検の状態が続いており、事故は5人だけの責任ではない、などとして悪質な行為とまでは評価せず、正式な起訴は見送った。
関電の大飯原発1号機(同県おおい町)の2次系配管3カ所では、美浜の事故の約1カ月前、厚さが国の基準を下回るまですり減った配管が発見された。これを受けて旧若狭支社につくられた対策会議で、配管補修部門の責任者を務めた井戸浦チーフマネジャーが、破裂した美浜の配管の状態について事故前に報告を受けていたかどうかが捜査の焦点となった。しかし、報告を受けていた事実は確認できず、事故の予見可能性を問うのは困難と判断した。
5人を略式起訴とした理由について、福井地検の西谷隆・次席検事は「5人の死者を出した責任は重大だが、関電には長年にわたる組織としての問題があり、社員だけの責任に帰するのは公平を欠く面があると判断した」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0320/OSK200703200067.html