全国で計229人が17地裁で起こした集団訴訟で、不認定処分を取り消す司法判断が出たのは、昨年5月の大阪、同8月の広島、今年1月の名古屋各地裁に続いて4度目。22日には東京地裁でも判決が控えており、国に政策転換を迫る声が強まりそうだ。
訴えていたのは、仙台市太白区の波多野明美さん(68)と同市泉区の新沼●雄さん(83)。
波多野さんは7歳のとき、爆心地から1.8キロの広島市内の路上で被爆した。1982年、胃がんで胃の3分の2を摘出した。以降、食事をすると胃の辺りに強い痛みが走るなどの症状が出ていた。
旧陸軍の通信兵だった新沼さんは、広島市内の爆心地から2キロの兵舎内で被爆。50代で腎臓がん、60代で膀胱(ぼうこう)がんになった。
2人は02年、原爆症認定の申請をしたが、却下されたため提訴した。
判決は、被爆した放射線量を基に性別や年齢を考慮し、がんなどの発生リスクを表示する「原因確率」を用いた現在の国の審査基準について「残留放射線による外部被曝(ひばく)や内部被曝の影響を過小評価している」と指摘。これまでに出た三つの判決と同様、「機械的に適用するべきではない」と批判した。
厚労省によると、06年3月末現在、約26万人が被爆者手帳を持っている。うち、原爆症と認定されたのは2280人と、被爆者全体の1%にも満たない。原爆症と認定されれば、毎月約13万7000円の医療特別手当が支給される。
●は「弍」の「二」の部分が「三」
http://www.asahi.com/national/update/0320/TKY200703200195.html