これまでに比べると善戦だった。序盤のピンチをしのぎ、一度は「もしや」と思わせた。
右四つから朝青龍にいなされた上、足を取られて後ろに回り込まれたが、ここは必死で振りほどき、得意の右差しに。横綱が内無双を切ったすきをつき、右ひじで相手を起こしながら前へ出る。だが、そのひじが滑って相手に回り込まれた。最大の勝機が土壇場で、スルリとこぼれた。
2人の対戦成績の偏りが、週刊誌の八百長報道で疑惑の一つとされた。それだけに琴光喜は前夜「連敗したため、変に言われるのは悔しい。明日は気持ちで負けないようにする」と意気込んだ。しかし、流れを変えることは出来なかった。
支度部屋で悔しさをぶちまけるのかと思ったら、意外にも「今日は納得している。やれることをやったから」。満足そうだった。今後の対策を聞かれると「技術的なことはない。気持ちで負けないこと」。
朝青龍は新大関の02年秋場所で、当時「ライバル」と言われていた琴光喜に最後に敗れたときの悔しがりようは半端ではなく、その思いが取り口を研究させた。琴光喜とは対照的だ。
連敗記録の2位にはあと2。1位はあと4。負けて納得しているようでは、さらに「ランクアップ」もありそうだ。