伊勢丹のノウハウが特にちりばめられているのが旧メルサ駅前店を改装し、ほぼ全フロアで紳士関連を扱うメンズ館だ。
「以前は使うシーンごとにシャツや帽子などを交ぜて陳列していたが、アイテムごとに配置した」(鈴木隆之ゼネラルマネジャー=GM)。
例えば、紳士靴売り場は約110平方メートルと改装前の2.5倍、扱う靴は1200種類と倍増。新設したメンズコスメコーナーでは、香水やスキンケア品など約600種類を扱い、「名古屋最大の品ぞろえ」が売りだ。
また、従来は通路から仕切られていたブランド間の境界を5メートルほど下げた。伊勢丹ではテナントの連続性を持たせるため仕切りはまったくないが、「ブランドにもこだわりが強い名古屋のお客様が混乱しないように配慮した」(鈴木GM)形で、融合を図ったのだ。
仕入れや人材育成などのソフト面でも、業務提携の効果を狙う。名鉄単独では限界があった仕入れ交渉でも融通がききやすくなった。これにより一つのアイテムで多くの種類を扱えるようになり、売れ筋をさらに見極められると期待する。
伊勢丹の店頭で研修を積んだ社員も増えた。研修経験のある社員は「1本の陳列バーにかける服の数も、最もきれいに見えるようにしていて参考になった」と話す。
伊勢丹出身の恩田宏三専務は「よい商品、よいサービスを強化するため個々の役割が大きくなる。販売員は今まで以上にお客様の声を聞き、商品展開につなげなければならない」といい、レジ業務などは契約社員に振り分け、正社員は接客に専念させるという。