天下りあっせんの流れ
首相は16日の経済財政諮問会議で「各省によるあっせんはなくして、機能する新人材バンクに一元化していくことが必要だ」と表明、渡辺公務員制度担当相に関連法整備を指示した。首相は1月の施政方針演説でも「省庁の予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職の根絶」を宣言、人材バンク構想はその裏付けとなるものだ。
ただ、各省や自民党からは渡辺氏が主張する「省庁による天下りあっせんの全廃」への反発が根強い。幹部職員の再就職先を確保して早期退職を勧める「肩たたき」の慣行の全廃は公務員の定員増につながりかねず、一気に制度改革を進めるのは難しいとの指摘もある。このため、政府は人材バンクにあっせんを一元化しつつ、各省の関与を認めることにした。
具体的には、各省の人事当局者を人材バンクに出向させることや人材バンク職員と兼任させる案などが浮上している。党側も各省の関与を前提に、人材バンクへの一元化を受け入れる方向だ。
首相は19日、党行革推進本部公務員制度改革委員長の片山虎之助参院幹事長に会い、党内調整を要請した。会談後、片山氏は「私の考えを言った。(首相と)ほとんど違っていない。機能する制度で公務員にも安心を与える」と強調。片山氏は18日、各省人事当局の関与を前提に人材バンク構想に「基本的に賛成」と表明している。
政府内には、人材バンクへの省庁の関与を認めた場合でも、あっせん対象者の出身省庁の関与は制限すべきだとの意見もある。ただ、詳細な制度設計を関連法案にどの程度盛り込むかは今後の調整に委ねられている。
一方、人材バンクへの移行時期について、渡辺氏は17日に安倍首相の09年9月までの自民党総裁任期中と明言。これに対し、塩崎官房長官は19日の記者会見で「大事なことは人材バンクをきちっと機能するように制度設計することだ。制度設計ができていないと時期は判断できない。焦ってはいけない」と語った。