「ちょっとおごりというか思い過ごしがあったというか。思わぬ苦戦を強いられております」
東京・新橋の事務所で、石原氏はそう切り出した。今回の選挙では、自身の政治姿勢に反省すべき点があったと認め、初心に帰ることを意味した「東京再起動。」がキャッチフレーズだ。
4氏そろってテレビなどで討論する機会が増えているが、石原氏は「強気の慎太郎節」を封印。陣営は「傲慢(ごうまん)というイメージができあがっている。まずは『みそぎ』が必要」。ある自民都議は「よく我慢してるよ」。
こうした低姿勢はいつまで続くのか。石原氏はこの日のあいさつで、「我慢の時期は過ぎましたんで、これからは猛然と反撃に転じます」とも口にした。すると、続いてあいさつに立った選挙対策本部長の佐々淳行・元内閣安全保障室長は「ニコニコして(投票まで)あと3週間がんばんなさい」とたしなめた。
吉田氏は「石原さんはこわもてのイメージがあったのに拍子抜けした。五輪も最優先課題ではないとトーンダウン。『ちょっと引いて』との戦略もあるのかな」と見る。
一方、浅野氏は西新宿の都庁舎から約700メートルの雑居ビルに事務所を開設。都庁舎の方を向き、マイクを握る手に力を込めた。「やっぱりあそこを変えなくちゃいけない。あそこの主を変えなくちゃいけない」
出馬表明直後は石原都政を評価する発言もしたが、最近は批判の言葉が連なる。18日のテレビ番組では「五輪が新しい開発の起爆剤だというのは20世紀型の考え方だ」と苦言。17日には台東区長選の応援演説で築地市場移転に反対を明言した。
黒川氏は石原氏に引退を迫りつつ、浅野氏についても「政策がはっきりしない。都政を勉強しながら考えをまとめるというなら、宮城で決心してから東京へ出てきた方がいい」と批判している。