2007年03月19日(月) 19時33分
インテル、クアッドコアとvProで牽引するエンタープライズ戦略(impress Watch)
インテル株式会社は19日、都内で「インテル・デジタル・エンタープライズ・アップデート・ミーティング」をプレス向けに開催し、同社のエンタープライズ戦略を説明した。
説明会では、同社の最新の技術動向のほか、サーバー向けのクアッドコアCPUの展開、vProプラットフォームの現状を紹介した。
●Teraスケールを目指すIntel
まず、マーケティング本部 本部長 阿部剛士氏が登場し、「性能と消費電力を求めるトレンドはこれまでと同じで、今年(2007年)の目標は次のプロセスである45nm製品の投入」と現状を語った。そして、同社の誇るコアコンピタンス(企業価値)として、プロセス技術とIA(x86)アーキテクチャのエコシステムが持つソフト資産、そして工場を所有していることを挙げる。
それらの具体的な例として、45nmプロセスによるPenryn(ペンリン)プロセッサの動作サンプルを世界で初めて実現したことを挙げる。同氏は、他社も45nmの技術を発表しているが、動作サンプルを見せたのが違い。Xeonベースのサンプルも有り、同社が技術面におけるリーダーシップを引き続き有しているとした。そのほか、High-K(高誘電率)ゲート絶縁膜と金属ゲート採用による性能向上や、米国オレゴンのD1D、アリゾナのFab 32、イスラエルに建設中のFab 28(2008年前半稼働予定)、ニューメキシコのFab 11X(2008年後半稼働予定)の4つの45nm対応Fabによるアドバンテージをアピールした。
また、キーワードとして“3Tera”を挙げ、T FLOPSのパフォーマンスとTBのメモリ、Tera BitのIOを実現することで、RMS(Recognition, Mining, Synthesis)分野向けにTeraスケールのデータ処理を実現していくという目標を説明。そのための研究として、先のISSCC 2007で発表された80コアプロセッサを取りあげ、3DスタッキングのSDRAM搭載や、FPCからGeneral-Purposeなコアへの切替などを行ない、Teraスケールのプロセッサとして将来的に提供していくとした。
●好調なItanium/Xeon、広がるvPro
次いで、マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ 統括部長 平野浩介氏が好調だというサーバー向けプロセッサとvProの現状について説明した。
同氏は国内の実績として、過去10年間で370万台のIAサーバーを出荷し、出荷金額は年々下がっているものの、その50%を占めていることを説明。RISC系ではItaniumがその65%(出荷金額)を占めており、SPARCやPOWERを上回る市場シェアを持っていることをアピールした。また、x86においては2006年11月に投入したクアッドコアのXeonと、2007年3月に投入した低電圧版Xeonを紹介し、AMDの最新製品(デュアルコアOpteron)と比較した場合の性能差を説明。システムメーカー各社よりXeon搭載製品が登場していることや、3GHz製品の投入、45nm製品の2007年後半の投入で今後も他社に先じていくとした。
その後、ビジネス向けプラットフォームであるvProテクノロジーを紹介。同氏は、「運用管理やセキュリティーの対策としてソフトウェアベースのものがあるが、強固なハードウェアでそれらに対応していくのがvProである」と位置づけた。その狙いは企業ユーザーに高性能/低消費電力のPCを提供するとともに、管理者に優れた運用管理システムとセキュリティー対策を提供し、最終的にPC環境を改善して企業のTCOを削減することだという。
vProは、デュアルコアプロセッサ(Core 2 Duo)とネットワーク(82566DM Gigabitネットワークコネクション with Intel AMT FW)、チップセット(Intel Q965 Express+ICH8-DO)、およびプラットフォーム技術(AMT/VT)と各種ソフトウェアの5つを構成要素としたプラットフォーム。現状でもPCベンダーによるvPro搭載製品の開発/販売や、ISVによるソフトウェア開発、SIによるソリューションの提供、企業による導入とフィードバックからなるエコシステムを構築しているが、SIからのソリューションの提供が少ないのが課題という。
今後の展開としては、SantaRosaプラットフォームでノートPCもvProに対応するほか、2007年後半にはデスクトップ向けのWeybridge(コードネーム)でvProのアップデートを行なう予定。Weybridgeでは、CPUがCore 2 Duo E6x50に、チップセットがIntel Q35 Express+ICH9-DOとなり、次世代のAMT、VT、TETに対応する。そのほか、管理技術のWS-MANとDMWGに対応することで標準化していくという。
説明会ではこのほか、セキュリティに対する取り組みの高まりに対応し、TCG(Trusted Computing Group)の一員として活動していることや、同社IT部門の生産性/競争力向上の取り組みなどが紹介された。
阿部氏はvProについて、「メーカーのレスポンスがよく手応えを感じている。国内のPCメーカーよりvProテクノロジー搭載PCが発売されており、協力ソフトウェアハウスより企業向けのソリューションが今年(2007年)の前半には出てくる。また、企業ユーザー間の導入事例も出てきている。今後も新しい管理運用に対応するvProがより広がっていくように活動していく」と抱負を述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070319-00000024-imp-sci