放送法改正案の骨子
改正案では、放送局が「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送」をして「国民経済または国民生活に悪影響」を及ぼしたと認めた場合、総務相が放送局に対して再発防止計画の策定と提出を要求できる。提出された計画は総務相の意見をつけて公表する。
現行制度では、一定期間電波を止める「停波命令」、従わない場合の「免許取り消し」という厳しい処分があるが実施された例はなく、運用されているのは「厳重注意」などの行政指導だけだ。放送局への行政処分は、メディアの表現の自由にかかわるため慎重に運用されてきた。法改正されれば、計画策定などを強制する仕組みが生まれる。
NHKについては、政府に委員の任命権がある経営委員会に「経営に関する基本方針」の決定権を与え、会長ら役員の「職務の執行の監督」をすると明記した。NHKの経営方針や予算はこれまでNHK会長ら生え抜き組の執行部が事実上決め、経営委は承認機関にすぎなかった。また、経営委の議事録の公表を義務づけるほか、NHKに外部の会計監査人の監査を受ける義務を課す。
一方、「NHK受信料支払い義務化」については与党との調整が残っているものの、総務省は法案から外す方針を決めた。「義務化は値下げとセット」と求めてきた菅総務相に対し、NHKの橋本元一会長が「今の段階で値下げ案は示せない」と拒否したためだ。