銚子市外川地区の歴史や漁業に関する資料を展示、子どもたちや観光客に見てもらおうという「外川ミニ郷土資料館」が、18日オープンした。地元の人から多くの資料や協力が寄せられ、準備段階で思わぬ人との縁も明らかになる展開に、開館にこぎ着けた島田政典さん(46)も感無量の面持ちだ。
活魚介類問屋経営の島田さんは昨年秋、同市外川町2丁目の自宅を改築しようと仏壇を整理中に、曽祖父の葬儀の時の写真を見つけた。曽祖父から父までが「外川の人たちに世話になった」と話していたことを知り、「地元のためになる施設を作りたい」と建設を思い立った。
話を聞いて郷土史研究家が本や史料を、貝の収集家は自分のコレクションを提供。昔の大漁の祝い着に使う生地が持ち込まれると、その生地を祝い着に仕立ててくれた女性もいた。小学生たちは地元の銚子電鉄やお店などを紹介した説明や写真を板に張り、持参してくれた。
さらに、大きな写真を展示したいと、夕焼けの写真で知られる同市の星野修成さん(94)に、同じ地区に住む知人が頼みに行ったところ、島田さんのこれまで住んでいた家が半世紀前、大工をしていた星野さんによって建てられたこともわかった。感激した星野さんは犬岩や屏風ケ浦(びょう・ぶ・が・うら)の写真や鯨を描いた絵馬の下絵などを提供。資料館の一角には星野コーナーも設けられることになった。
寄せられた資料は、合計で数百点にも。古い自宅の1階部分を改造した、50平方メートルほどの資料館では、道具や貝などに実際に触ることができる。島田さんは「完成までに多くの人に助けられ、思わぬ出会いがあった。ささやかな施設だが、歴史や文化の伝承に少しでも役立てればうれしい」と話す。
不定休で、開館は午前10時30分から午後3時まで。入場無料。問い合わせは銚子市観光協会(電話0479・22・1544)へ。
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