北朝鮮が「米国による敵視政策」とことあるごとに断じてきた金融制裁問題。過去の6カ国協議で大きなネックとなってきたこの問題について、中国の唐家セン国務委員は18日、「米朝双方が受け入れられるような共通認識に達した」と述べ、解決の認識を示した。
具体的には、マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されている、約2500万ドル(約29億1000万円)に上る北朝鮮関連口座の全面解除が実現する見通しだ。
北は、2月の6カ国協議で「初期段階措置」として合意したはずの寧辺(ヨンビョン)の核施設の稼働停止・封印についても、「金融制裁が解除され次第(閉鎖は)可能だ」としており、結果的にゴネ得が奏功した。
金融制裁解除は、北の外交姿勢の“賜物”だ。
北は協議において、核の初期段階措置以外では、具体的な措置に関して姿勢を明確にしない一方、金融制裁問題については常に積極的な姿勢で解除を訴えてきた。
これに対して米国は、BDAの凍結資金の扱いをマカオに一任することを財務省が発表。在米金融機関とBDAの取引を禁止してはいるが、結果として北への譲歩をせざるを得ない立場に追い込まれた。
6カ国協議の現場で北朝鮮の舵取りをする金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官は、協議再開を前に行われた作業部会などには一切姿を見せていない。「風邪をひいた」との噂が流れる中、「巧妙な米国への牽制(けんせい)」との観測も浮上。いずれにしても北が協議のイニシアチブを握っているのは確かだ。
対北外交筋は「北が核をカードとした外交戦術の効果を改めて認識している可能性も大いにあり、今後の6カ国協議の進展を探る中で、北がさらに高いハードルを課してくることも十分考えられる」と警戒している。
ZAKZAK 2007/03/19