県内などで草野球をやっているパイロットら12人が、このほど中国・上海市を訪問し、地元学生らと野球を通じて交流した。80年から毎年続けてきたが、天安門事件のあった89年を最後に中断していたため、18年ぶりの再開となった。初回からかかわり、今回も日本側の総監督を引き受けたのは元西鉄ライオンズ投手・監督の稲尾和久さん(69)。「いい交流ができた。中国はレベルが上がっている」と印象を語っていたという。
訪中したのは県内などに住む日本航空(JAL)の現役機長や副操縦士ら30〜50代の10人とOB、稲尾さんの計12人。乗員同士で旅費を工面し、「日航棒球団」(棒球は中国語で野球の意味)と名付けた。
試合は14日で、同市の上海市体育運動学校の学生選抜(17〜19歳)と対戦。棒球団は1回に1点を先制したものの、3回に学生選抜に1点を返された。急な雨で試合は引き分けのまま途中中止となった。代わりに、室内練習場で稲尾さんが野球教室を開いた。16日に帰国した。
八千代市に住むジャンボ機B747—400機長大畑孝さん(41)は投手。「1点に抑えることができた。しかし、個々の選手の能力は高く、9回までやったら打ち込まれていただろう。それに日本側は金属バットなのに、向こうは木製だった」と苦笑した。
中翼手で、ふだんはジャンボ機副操縦士の奈良井哲也さん(35)=横浜市青葉区=はこれまで上海便に10回ほど乗務歴がある。それでも上海市内を見て回ったことはなかった。「いい交流ができたと思う。予想以上に学生は熱心でのみ込みが早く、感心させられた」と言う。
遠征は元ジャンボ機機長丸山巌さん(72)=横浜市中区=が懇意だった稲尾さんを誘って始まった。89年の第10回までの訪問先は福建省だった。
その間に5回同行し、今回も参加した四街道市の湯浅孝志さん(52)もジャンボ機の機長だ。「行かない間に中国の野球レベルはすごく上がった。卓球ほどではないが、市民の関心も高まった」と話す。
再開のきっかけは、JAL乗員らでつくる草野球チーム間のリーグ戦が昨年で20周年を迎えたことだった。年末に訪中団の参加者を募ってみたところ、10人が手を挙げた。団長を務めた丸山さんは「今回は団のバスがパトカーに先導されるなど、好待遇を受けた。今後もなんらかの形で交流を考えたい」と話す。
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