万波医師は93〜03年、同病院で摘出した19件と、ほかの病院から提供を受けた6件の腎臓を使った計25件の病気腎移植を執刀した。
調査委は、各症例について摘出と移植が適切だったかどうかを検討。腎がん(5件)では、病変部が小さくても患者が望む場合などは摘出が容認されるとしたが、「再発」や転移の可能性があり、移植に使うべきではないと判断した。尿管がん(5件)についても再発の可能性が高く、移植すべきではないと認定した。
ネフローゼ症候群(6件)については「内科的治療を続けるべきだった」と指摘。腎動脈瘤(りゅう)や腎膿瘍(のうよう)など7件も腎臓を保存する治療法が可能だったなどとして、いずれも不適切と結論づけた。
一方、尿管狭窄の移植は「狭くなった部分を広げる治療などが望ましく、否定的に考えるべきだ」としたうえで、患者の希望や年齢、症状などを考慮すれば摘出は否定できず、感染症がないと確認されれば移植が容認できるケースもある、と含みを残した。
調査委は、他病院への提供を含む計20件の摘出手術についても分析。病気の種類によっては、うち10件について摘出が容認できる場合があるとの見解を示した。
宇和島徳洲会病院の調査委は今月3日、移植11件について、「患者の個人的事情などを考慮すると否定できない」との見解をまとめ、大半の委員が「医学的に問題が多い」と結論づけた下部組織の専門委員会からの報告と両論併記することを決めている。ほかに6件の移植を実施した呉共済病院(広島県呉市)などの調査委や、摘出のみの病院を対象にした厚労省の調査班も近く最終結論を出す予定。
http://www.asahi.com/national/update/0318/OSK200703180023.html