流山市の市道で2月、大島哲男さん(32)がトラックにはねられたうえ約1・6キロ引きずられたとされる死亡ひき逃げ事件で、県警交通捜査課と流山署は16日までに、運転手土屋大作容疑者(37)=業務上過失致死などの疑いで逮捕・送検=について、殺人容疑での立件を断念した。大島さんはほぼ即死で、車で引きずって死亡させたとは言えないと判断した。同署は19日にも、死体損壊容疑で千葉地検松戸支部に追送検する方針だ。
調べでは、土屋容疑者は大島さんをはねた直後にトラックから降りて、車のタイヤとタイヤの間にうつぶせの状態で挟まれている大島さんの姿を確認していた。蛇行しながら引きずり続けたのは、「何とか振り落とそうとしたため」と供述していたという。
このため県警は当初、土屋容疑者には、そのまま走れば大島さんが死ぬかもしれないとの「未必の故意」があったとみて、殺人容疑での立件を視野に捜査してきた。
しかし、司法解剖の結果、大島さんは、ほぼ即死に近い「短時間での死亡」と判明。死因も腰や背中をひかれたことによる外傷性ショックで、引きずられた際の大量出血もなかったことが分かったという。
地検松戸支部とも協議した結果、引きずっていたのは「死体」だったと認定。殺人罪ではなく、死体損壊罪を適用することを決めたという。
これまでの調べでは、土屋容疑者は2月24日午前2時40分ごろ、流山市東初石2丁目の市道でトラックを運転中、現場に仰向けでいた大島さんをはねた後、右折・左折をしながら、約1・6キロ離れた柏市西原1丁目の市道までひきずり、そのまま逃げた疑い。
現場近くの防犯カメラの映像などから土屋容疑者が浮上。同月27日に業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕されていた。
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