判決は、投資家が自己責任で株式の売買を行うためには、会社の財務内容についての正確な情報提供は不可欠だと強調。
堀江前社長の犯行は、証券取引法や東京証券取引所が求める適時開示制度の根幹をなす「投資家保護」の精神を揺るがし、証券市場の公正性を害したと断罪した。
証券市場に詳しい太田洋弁護士は「虚偽記載の事実を否認しても、場合によっては実刑になりうることを示した」と指摘。他の上場企業に与える影響は大きいとみる。
ライブドア事件を教訓に、金融庁は昨年七月施行の改正証券取引法で、虚偽記載に対する最高刑を懲役五年から詐欺罪と同じ懲役十年に引き上げた。罰則強化の流れの中で「堀江前社長の実刑は当然だ」(会計専門家)との声が出ている。
大和総研資本市場調査本部の吉川満本部長も「投資家に確実に損をさせるようなうそをついたのだから、実刑もやむを得ない」との立場だ。
また二〇〇八年度からは、不正会計を防ぐ仕組みである内部統制の構築が上場企業に義務づけられ、経営者には社内管理を整える責任が課されることになる。
今回の裁判で堀江前社長は、粉飾決算の計画を知らなかったと主張。判決では認められず共犯と認定されたが、青山学院大学大学院の八田進二教授は「今後は、経営者が部下の行った粉飾決算を『知らない』と言い訳することさえできなくなるだろう」と説明する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070317/mng_____kei_____001.shtml