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2007年03月16日(金) 00時00分

酒匂の渡し 見守ったケヤキ復活朝日新聞

  開成町吉田島の酒匂川「十文字の渡し」の目印となっていたケヤキが復活し、15日、植樹祭があった。200年以上前に植えられたと伝えられ、旅人を見守り続けた先代は枯死、昨年切り倒されていた。植樹祭では「次の代、次の次の代もずっと人々を見守ってほしい」と2代目のケヤキに思いを託した。

(岡田宙太)

  松田町と開成町を結ぶ十文字橋(旧橋)付近は橋がないころ、舟による渡しがあった。明治20年ごろまで往来していたという。開成町側の川端に立っていたのが十文字の渡しの大ケヤキ。あたりは川幅が広く、対岸からの目印として植えられたという。

  20年以上前に、地元有志が「河原町欅(けやき)保存会」を作って、雑草取り、落ち葉の清掃、毎年12月30日にしめ縄を張って正月を迎える準備をし大切にしてきた。しかし、周囲約4メートルの幹に大きな空洞ができ、かつて20、30メートルあった大木もだんだん枯れ、一昨年秋の台風で上部が折れて高さ6、7メートルになってしまった。倒れる危険があり昨年11月、ついに伐採された。保存会も解散した。

  この時、木の一部を2組の拍子木にして記念にした。ほかの木は1月に河原でした「どんと焼き」で燃やされた。これで十文字の渡しのケヤキは消えたかに見えた。

  1月5日の町の賀詞交換会で拍子木がたたかれたことから、自治会役員らが「このままでは寂しい」「地元の歴史を残したい」と後継のケヤキを植える機運が一気に高まった。結局、12自治会で構成する町自治会長連絡協議会(井上城司会長)がお金を出して2代目のケヤキを購入した。

  2代目は高さ4メートル幹回りは20センチほど。植樹祭では井上連絡協会長が「昨年、地域のシンボルがなくなって悲しい思いをしてきた。新しいケヤキがずっと人々を見守ってほしい」とあいさつした。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703160002