記事登録
2007年03月16日(金) 00時00分

人権重視へ「ギア・チェンジ」朝日新聞

 米下院外交委員会は13日、野党・民主党が多数となった1月の新議会発足後初めて中国に関連する公聴会を開き、チベットをテーマに取り上げた。人権派で知られる外交委のラントス委員長(民主党)は、中国が独立の動きに神経をとがらせるチベット問題にあえて最初に切り込むことで、議会の対中姿勢を示した形だ。

 「中国は世界の指導者となるには、宇宙船や超高層ビルだけではだめだということを理解しなければならない」

 ラントス委員長は公聴会で、チベット問題などでの人権状況の改善を求めた。ラントス氏はナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者で、人権問題への関心は強い。

 公聴会に証人として出席したチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の特使ロディ・ギャリ氏は「議会のメンバーがチベット問題をいかに深く考慮しているかを明確に示した」と歓迎した。

 ほかの委員からも中国に厳しい意見が相次いだ。共和党の筆頭メンバー、ロスレイティネン議員は中国がダライ・ラマ側との対話に積極的ではないとし、その理由を「中国がチベットを文化的に支配するには、宗教を抑圧するしかないからだ」と指摘した。

 外交委だけでなく、下院初の女性議長となったペロシ氏も91年に訪中した際、天安門事件の死者をたたえる横断幕を天安門広場で掲げた「筋金入り」だ。米議会では議長や委員長が議事運営に大きな権限を持つため、これまでの軍拡路線や貿易問題に加え、今後は人権面から中国をとらえる動きが強まりそうだ。

 ただ、米中の経済的つながりの強化を背景に、米議会でも中国との関係強化を望む声が出ている。公聴会を欠席した委員も多く、委員らの間で中国への配慮が一定程度働いた可能性はある。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000703160004