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2007年03月16日(金) 13時57分

志賀原発の臨界事故隠し 保安院、緊急調査へ朝日新聞

 北陸電力による志賀原発1号機(石川県志賀町、出力54万キロワット)の臨界事故隠しで、経済産業省原子力安全・保安院は16日、同原発の事故時のマニュアル整備など運転体制や、事故隠しに至った原因について、週明けの19日から緊急調査する方針を明らかにした。保安院は、東京電力などの一連の不正を受けて国内の全原発を対象に特別検査を実施中だが、志賀原発の全2基に対しては検査内容を強化する。

 保安院によると、今回の臨界事故隠しは、原子炉等規制法の報告義務違反と保安規定違反に当たる可能性があるという。未報告については3年の時効がすでに成立しているが、保安規定違反は行政処分の対象のため時効はない。今後の調査で違反行為が裏付けられれば、最長1年間の運転停止処分を科す対象になる。電気事業法上の該当項目はないとしている。

 東京電力の福島第一原発1号機(福島県)では91、92年に原子炉格納容器の気密性確認試験でデータ偽装工作があり、02年に発覚。原子炉等規制法(保安規定違反)に基づく1年間の運転停止処分を受けている。

 11人が死傷した04年8月の関西電力美浜原発3号機(福井県)の蒸気噴出事故では、電気事業法に基づく技術基準適合命令が出された。破裂した配管の取り換え作業が終わって安全性が確認されるまで、運転停止を迫られた。

 甘利経産相は16日の閣議後会見で、事故が茨城県東海村の民間ウラン加工施設ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故の3カ月前だったため、「きちんと報告されていれば防げたのではないか」という見方を示した。「事実関係を正確に把握し、再発防止策などを明確にしたい」と強調した。

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY200703160178.html