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2007年03月15日(木) 00時00分

横浜日劇別れの上映朝日新聞

  最盛期に30近い映画館があった横浜・伊勢佐木町かいわい。そのなかで半世紀の歴史を持ちながら、2年前に閉館した「横浜日劇」=中区若葉町3丁目=が取り壊されることになり、17、18日に最後の上映がある。

(三輪さち子)

  館主の福寿誠さん(59)によると、横浜日劇は1950年代に開業した。主に封切りからしばらくたった洋画を中心に2本立てで上映。組み合わせの妙に人気があり、船員や船の荷運びをする沖仲仕が多く訪れ、60年代のピーク時には、2階席から客が落ちそうになるほどの人気作品もあった。

  90年代には映画館そのものが、映画「私立探偵濱(はま)マイク」の撮影場所になり、名所にもなった。しかし、客足の減少などで05年2月に閉館した。

  福寿さんは「建物は町のランドマーク的存在だったし、風俗店の乱立から町を守っていた」という。しかし、耐震強度や空調設備の問題などから再開は難しかった。元従業員は「人間臭い建物が街から消えていくことが寂しい」と話した。

  17、18の両日とも、午後0時半からジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマパラダイス」を上映する。特別内覧会や記念グッズの販売もするという。

  最終上映に一役買うのは、横浜日劇の向かいにある映画館「ジャック&ベティ」の経営に今月から乗り出した町活性化団体「黄金町プロジェクト」のメンバー3人。

  上映に関する問い合わせは、ジャック&ベティ(045・243・9800)へ。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703150001