東京海上日動と日本興亜について、金融庁幹部は「(不払いが)より広範で、規模が大きく公益性の侵害が甚大だった」と批判した。
この日、判明した第三分野の不払い件数は東京海上日動が千百九十件で、昨年十月末の報告より三百八十五件増加し業界最多となった。日本興亜は百三十五件増えて九百六十八件に。件数を押し上げたのは、契約時に病歴を正確に告知しなかった「告知義務違反」への対応。損保の約款では告知義務違反があった場合、一定期間内に契約解除することになっている。だが自主的に解約してもらい、支払われた保険料を返還するケースもある。
金融庁は、「契約者間で不公平だ」として約款通り契約解除しないケースを不適切と判断。昨年六月、三井住友海上火災保険を業務停止処分にした際、すでに不払い案件にカウントしている。
東京海上日動と日本興亜の両社は「手続きは不適切だったが、不払いではない」とし、金融庁への報告の対象としなかった。解釈をめぐり金融庁と議論を交わした結果、両社は最終的に不払いと認めた。契約者保護を掲げる金融庁の強い決意を読み切れず、結果的に不払い件数を少なく報告した格好だ。
「行政処分を受ける事態となり、深くおわびする」。両社首脳は陳謝し、来月十三日に業務改善計画を提出するとともに、役職員の処分を出す。だが自身の進退について、東京海上日動の石原邦夫社長は「一連の問題の解決に努めるのが最優先の責務だ」と明言を避けた。
日本興亜は今年一月、四月に兵頭誠副社長が社長となり、松沢建社長が会長となる人事を発表済み。松沢社長は、「(兵頭次期社長と)一緒に努力して頑張る」と辞任を明確に否定した。ただ、昨年に業務停止処分を受けた損保ジャパンや三井住友海上は、前経営トップが社外に去っている。
今後は東京海上日動や日本興亜などが、消費者を納得させる経営責任の明確化を図れるかどうかが焦点となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070315/mng_____kei_____003.shtml