子どもの創作活動を支援するユニークな公的施設だった川崎市青少年創作センター(多摩区三田2丁目)が、3月末で17年の歴史を閉じる。講師だった陶芸家や画家、マンガ家ら15人の作品約30点を集めた「さよなら作品展」が25日まで開かれている。センターはその後、隣接する市立生田中学校の創作活動の施設となる。
(渡辺嘉三)
「みんな、盛り上がっていたんですけどね」。非常勤職員として、子どもたちのための教室を企画していた陶芸家・江良柾子さん(59)が、残念そうに話す。横浜市青葉区藤が丘1丁目の自宅から週4回通う江良さん自身も、当初は子どもの陶芸の講師として参加した。03年、子どものための教室やセンターにある陶芸室の運営を依頼された。子どもとの相性も考え、出身の多摩美術大学の知人らに声をかけ、講師を頼んだ。
夏休みや土日を利用した年6回の創作教室や半年ごとのこども創作クラブでは、絵画や美術の好きな子どもが、第一線の芸術家から直接指導を受けた。講師の1人、油絵画家の美斉津匠一さん(37)は「子どもから刺激を受ける場でもあった」。
90年にできたセンターは、小中学校ではできない美術や工作の創作拠点となった。陶芸室などの設備を市民に貸し出してもきた。が、閉館が午後5時のため、土日以外の子どもの活動は難しく、「有効活用されていない」と見直しの対象になった。
改装後、新施設も7月から子どもや市民に開放されるが、最大の問題は5人いたセンターの職員がいなくなることだ。中学校が施設の管理をするが、江良さんのように企画できる専門家を見つけなくてはならない。だが、主催事業の予算はこれまでと同じ約290万円。この中で企画する人も、講師料もまかなわなくてはならない。
江良さんは「『もっとやりたい』という子どもを見ると、どうにか続けられないかと思います」。
午前9時半〜午後5時。月曜日休み。問い合わせはセンター(044・911・1510)へ
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