2007年03月14日(水) 23時30分
コーエー、今の時代を現わすRPGを目指すアルテピアッツァ開発のWii初のオリジナルRPG「オプーナ」(impress Watch)
株式会社コーエーは都内で発表会を開催し、Wii用の1人プレイ用ロールプレイングゲーム「オプーナ (opoona)」を発表した。発売は2007年夏を予定しており価格は7,140円。開発は「ドラゴンクエストVII」でアートディレクション・CGデザイン・シナリオ制作、PS2でリメイクされた「ドラゴンクエストV」の開発などを担当したことで知られるアルテピアッツァ株式会社。
タイトルの「オプーナ」は、ゲームの主人公の名前。宇宙の治安を守る勇士“コスモガード”の子供のオプーナは家族宇宙旅行中に不慮の事故に遭い弟や妹とは生き別れてしまい、両親は瀕死の重傷を負ってしまう。この旅先の「ランドロール星」から帰れなくなったオプーナは、この星の住人として生活を始め、離ればなれとなった弟や妹を捜すために冒険を繰り広げる。
基本的なシステムとしては、フィールドを探索し敵とエンカウントすることでバトルが発生するタイプのRPG。プレーヤーはオプーナとなって冒険することになるが、ゲームが進むことで章によっては妹のポリーナや弟のコプーナとなってプレイする場面も登場するという。会場で流されたゲーム画面ではパーティを組んで戦闘を行なっていた。
ランドロール星には凶暴なダークローグと呼ばれる魔物達が跋扈する。ランドロール星に住む人たちは安全な居住区ドームで暮らしているが、一歩外に出ればダークローグが登場し戦闘することとなる。オプーナもこの居住区ドーム内で暮らしており、冒険にも出かけるがそれだけではなく、日々の生活も大切となっている。生活するためには働かなければならないが、仕事に就くためには“ライセンス”と呼ばれる資格が必要となってくる。この仕事にはファーストフードのバイトなどから、レスキュー隊員や探偵、さらにはアイドルなど20種類以上用意されている。どの仕事を選択するかはプレーヤー次第だが、仕事をこなすことでプレーヤーは成長し、周りのNPCとの親交を深め、新しいエリアに進むこともできるようになる。
特徴的なところとしてはバトルシーンがあげられる。オプーナは頭の上に“エナジーボンボン”と呼ばれるボールを持つが、戦闘ではこれを投げつけて攻撃することができる (アクティブボンボンバトル)。操作はWiiのヌンチャクによって行なわれるが、スティックを倒すとエネルギーを溜め、投げたい方向に弾くことでエナジーボンボンは敵に向かって飛んでいく。アクション要素が高いように感じるが、ボールは狙った敵に向かって必ず打ち出される (敵が避ければ当たらないが、プレーヤーのアクションテクニックは要求されない)。面白いのは、敵に当たるまでの飛行軌道はプレーヤーの自由になるという点。ストレートでもカーブでもOK。
さらにこのエナジーボンボンには様々なオプションをつけたり強化することも可能。というのも、敵の中にはこのエナジーボンボンを受け止めてしまう敵も出現する。こういった特殊な敵に対して攻撃するときはオプションを設定することで、敵がエナジーボンボンを受け止めたときに爆発させ、敵にダメージを与えるなどの戦略もとれる。エナジーボンボンの強化、成長も楽しめる。同作の開発ディレクターを務める杉村幸子氏によればエナジーボンボンは数が増えることはないが、成長させることで大きくなることはあるという。また、操作は全てヌンチャクのみで行なえ、寝転がってプレイすることも可能だという。
マップ上やフィールド上にはあちこち仕掛けが設置されており、アイテムなどが隠されていることもある。コントローラでカメラ (視点) を移動させることも可能で、あちらこちらを見回すことができる。周りを見回すことで発見もあるという。ゲームにはこのほかにも、会話を楽しんだり仕事を請け負うことで上がっていく“トモダチ度”といったパラメータもあり、“トモダチ度”を上げることで新しい住人を紹介してもらえたり仕事の受注がきたりするなど、ゲームの世界が広がっていくという。
■ 眞島氏「優しくて力強い冒険を体験して欲しい」
発表会にはアルテピアッツァから、開発プロデューサーの眞島真太郎氏、開発ディレクターの杉村幸子氏、音楽を担当した崎元仁氏が出席。ゲームの説明を行なうと同時にゲームの開発の経緯などについてもコメントした。
眞島氏は「オプーナ」の誕生について「子供達は似顔絵など描いたりするじゃないですか。わかりやすいキャラクタにしたかった」と語り、「ある日、夢で丸いヤツが出てきて目が醒めお風呂に入って湯気で曇ったところにチョチョイと線を加えたらできた」と誕生の瞬間を明らかにした。眞島氏としては、とんがったキャラクタは多いけど丸いのも良いなぁと言うことでこのキャラクタで行くことにしたという。
世界観については、人工物で構成されている居住ドームと、その外のランドロール星の自然とは意識的に切り分けたという。居住ドームの超近代的でクリーンなイメージと外部の混沌とした有機的な自然の美しさとを対比させたかったという。そのために、建築物の線を少なくし、美しさを出すことに苦労したとしている。
バトルシステムについては、ヌンチャクコントローラのスティックを弾くことでエナジーボンボンが飛んでいく点に触れ、「指の快感とでも言うんでしょうか。子供の時は体を使った遊びが好きですが、大人も同じじゃないでしょうか。遊びの原点として弾いて飛ばすようにした」と説明。
一方、眞島氏からキャラクタを見せられた開発ディレクターの杉村幸子氏は「子供がすごくがんばっているなといったイメージがあった」と感想を述べ、がんばる子供を表現したかったためにロールプレイングゲームのシステムを採用したのだという。また、“アクティブボンボンバトル”については、アクションを採用してしまうとアクションの苦手な人にとってプレイの障壁となるところから、基本システムはシンプルにしながらも、エナジーボンボンの動きを出したかったことから、狙ったところに飛んでいく現在のシステムを考えついたのだという。
音楽を担当した崎元仁氏は音楽を手がけるにあたって眞島氏から説明を受けた時、RPGというジャンルにおいてこれまで主流ではなかったSF的な世界観に意表をつかれたという。しかし、SFと言っても全体的なイメージとして線の柔らかい部分があり、親しみやすい雰囲気であったところからそこを音で表現するように心がけたという。崎元氏は「『オプーナ』のカワイイ雰囲気が出て、ぼくとしては珍しくテーマ曲はすぐにできた」としながらも、「SF的なグラフィックスと親しみやすい雰囲気をどうすれば融合できるかという点には気を遣った」と制作の苦労を語った。
最後に眞島氏は「優しくて力強い冒険を体験して欲しい」とアピールした。
■ 堀井雄二氏も「プレイしてみたい」と期待感を表明
Wii「オプーナ」の制作にあたっては、コーエー内部でかなりの紆余曲折があったという。小松清志代表取締役社長によれば、始めるにあたってすったもんだあり、意見の衝突があったことを明らかにしている。そこでどうしてもやりたいと手を挙げたのが専務執行役員の杉山芳樹氏だったという。
杉山氏は「大のRPGファン」と言い、「自分の過ごしてきた時代の思い出とRPGをプレイした思い出が繋がる。そういった作品が作りたかった」とコメント。「面白いと言ってもらうだけでなく、記憶に残る作品になって欲しい」と杉山氏は語り、その結果として「オプーナ」は「期待以上の素晴らしい出来」と小松氏が言うまでの作品に仕上がりつつある。小松氏は「心が温かくなる良い作品。コーエーはこういったゲームをプロデュースする。『オプーナ』はこの時代のRPG」とアピールした。
また、コーエーのファウンダー取締役名誉会長の襟川恵子氏も挨拶を行なった。襟川氏も「オプーナ」の制作経緯に触れ、「コーエーは初めてRPGを作ったと自負しているが、シミュレーションゲームにシフトしていった。その後パソコンからファミコンへとなり、優秀なRPG作品がたくさん登場し、悔しくて社員を鼓舞して良いものを作れと言ってきた。でも、ヒット作が出なかった」と振り返った。そこで一昨年のE3で堀井雄二氏に会う機会があった襟川氏は、堀井氏に相談を持ちかけた。
襟川氏の「なかなか良いところが無く、(良いRPGタイトルを作ってくれる) 知り合いはいらっしゃいませんか?」という問いかけに、襟川氏と初めてであったばかりだという堀井氏はアルテピアッツァの眞島氏を紹介。この時点ですでに「オプーナ」の企画は進行していたようで、他社との調整を経て、最終的にコーエーが制作を手がけることとなった。
ここで襟川氏に促される形で発表会に登場したのが、襟川氏にアルテピアッツァを紹介した堀井雄二氏。堀井氏は「オプーナ」の感想を求められ、「まず意外とビックリしたのはキャラクタがシンプルだなと思ったんですよね。でも、風景とかすごく綺麗で、その変な雰囲気が良い。それと単純にWiiでパチパチ弾くような感じ (アクティブボンボンバトル) が感覚的に遊べるゲームになるのかなと思う」とコメント。堀井氏は「触ってないので何とも言えないんですが」と前置きしながらも、「『ドラゴンクエスト』をやってきた仲間がオリジナルを作るというのでボクも早くプレイしたいです。楽しみにしています」と語り締めくくった。
襟川会長は発売時期については「夏頃までには発売したいなぁ」としながらも、「どうしてもヒットさせなければならない。そういった意味では (発売が) 少し伸びるかもしれない」と慎重な姿勢を崩さなかった。Wiiではネットワークに接続することで追加アイテムなどのダウンロードなどの展開も考えられるが、この点について杉山氏は「1作目では考えていない」と否定。販売計画については小松氏が「たぶん先週まででWiiが180万台くらいセルスルーしていると思います。たぶん3月中には200万台を超えて夏くらいまでには300万台とかそのくらいだと思う。市場の問題はあるのですが、まず50万本は売って、その後は100万本を目指していきたい」と見通しを語った。
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(C)Hitoshi Sakimoto
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