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2007年03月13日(火) 00時00分

暖冬は別のメカニズム?今季は“幻のエルニーニョ”かZAKZAK

 南米ペルー沖の海面水温が上がり、世界的な異常気象をもたらした今季のエルニーニョ現象の継続期間が気象庁の定義に足りず、同庁の観測上、〝幻のエルニーニョ〟となる可能性が出てきた。

 気象庁は「予想より急速に海面水温が低下した」と困惑気味。定義を満たさなかった場合、「短期間の『エルニーニョ状態』」などの表現で記録に残すことを検討中だ。

 気象庁は同現象を、ペルー沖の監視海域で(1)月平均海面水温と基準値(過去30年平均)の差を計算(2)当該月とその前後2カ月の平均基準値差(5カ月移動平均)を算出(3)5カ月移動平均が6カ月以上続けてプラス0.5度以上の場合—と定義。世界共通の定義はない。

 平均値は昨年9月から4カ月連続プラス0.9—0.6度で条件を満たしたが、データが確定していない5カ月目(今年1月)以降は水温の急速な低下で、0.5度を下回る可能性がある。

 今回の月平均海面水温と基準値の差は最大1.1度。「20世紀最大」とされた1997—98年のエルニーニョ(最大3.5度)などと比べ、世界の気候に与えた影響の大きさの割には数値が小さいのも特徴だ。

 同庁は「日本列島に暖冬をもたらしたメカニズムも、過去のものと違う」としており今後、大学などの研究機関とともに解析する方針だ。

 【エルニーニョの観測】気象庁はペルー沖太平洋赤道海域の東西約6000キロ、南北約1000キロの範囲を「エルニーニョ監視海域」とし、日米両国が分担して設置したブイなどで海面水温を観測。エルニーニョの定義に用いる「5カ月移動平均」は、月ごとのばらつきをならし水温の中・長期的変動をとらえるための手法で「3月の5カ月移動平均値」は1、2、3、4、5月の平均となる。米海洋大気局(NOAA)は、当該月と前後1カ月の「3カ月移動平均」が1回でもプラス0.5度以上になると「エルニーニョ状態」、5カ月連続で「エルニーニョ現象」と定義している。

ZAKZAK 2007/03/13

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007031346.html