【カイロ=岡本道郎】米国のエレン・ソーアブレイ国務次官補(難民問題担当)は12日、シリアの首都ダマスカスで、ファイサル・メクダド外務次官とイラク難民問題などについて会談した。
米高官のシリア訪問は、2005年2月、シリアの関与が疑われたレバノンのハリリ元首相暗殺事件を受け、米国が駐シリア大使を召還して以来初めて。
会談終了後、メクダド次官が記者団に語ったところによると、シリア側は米側に、対イスラエル和平などを含めた中東のすべての問題について、包括的協議を行いたい意向を伝えた。
米国は、バグダッドで10日開かれたイラク安定化のための高官級国際会議に参加し、これまで接触を避けていたシリア、イラン両国代表と直接協議も行うなど、イラク問題の外交解決に向け方針を修正した。国務次官補のシリア訪問も、イラク問題解決にシリアを積極的に関与させようという方策の一環とみられる。
テロや宗派対立を逃れ、周辺国に脱出したイラク難民は推定200万人とも言われ、シリアも60万人以上を抱えている。