米農務省は9日、牛海綿状脳症(BSE)感染の危険度を示す国際獣疫事務局(OIE、本部・パリ)が米国を牛の月齢を問わずに輸出できる国に認定する見通しを明らかにした。5月に正式決定されれば「30カ月以下」という輸出向け牛肉の月齢制限がなくなり、輸出条件が大幅に緩和される。日本向け輸出は日米合意でさらに厳しい「20カ月以下」に限られており、米国は国際機関の「お墨付き」をテコに日本に条件緩和を強く求める方針だ。
OIEは家畜の安全基準を定める国際機関。科学的な判断をもとに加盟国が守るべき最低限の基準を決めている。BSEでは、発生歴や感染防止策などから感染リスクが(1)無視できる(2)管理されている(3)不明、の3段階に対象国を分類。米国などの「リスク不明の国」は月齢30カ月以下の骨なし牛肉しか自由に貿易できない。「リスク管理されている」とみなされると月齢制限がなくなる。
米農務省は9日、「OIE科学委員会が米国をリスク管理された国として分類することを支持した」と発表。米最大の畜産団体の全米肉牛生産者協会も同日、「我々の輸出シェアが世界的に向上することを期待する」との声明を発表した。
OIEは今後、加盟国からの意見をもとに正式決定するが、専門家による科学委員会の判断が覆される可能性は少ないとみられている。
ただ日本が、BSEの発生リスクが少ない「月齢20カ月以下」としている独自の輸入条件を緩和するには、政府の食品安全委員会が条件変更を決めなければならない。