「ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜」から
寺本幸代監督=東京都内で
●監督「のび太の優しさ大事に」
脚本は、アニメ出身の作家真保裕一。科学の代わりに魔法が発達したもう一つの世界を舞台に、地球を魔界星から守るため、のび太たちが立ち上がる。
真保も寺本も、84年版「魔界」はお気に入りの作品だった。寺本は「とても完成度が高いので、それにもう一度挑戦するのは、やりがいはあるけど難しかった」と話す。
真保は、脇役の魔女メジューサのキャラクターを膨らませ、魔界星の謎を探るヒロイン美夜子との間に泣かせるドラマを盛った。寺本も、ドラえもんが「ぷにゅっと柔らかい」というアイデアを出した。映画の序盤で、失敗続きののび太がドラえもんに泣いて飛びつくと、ゴムのようにへこんだり伸びたりする場面がある。
「ロボットですから本来は石頭という設定。でも、抱きついたら気持ちよさそうな柔らかさにしてみたら面白いと思って」
しずかや美夜子ら、女性キャラクターたちの生き生きしたかわいらしさが印象的だ。かすれや強弱をつけた描線が効果を上げている。
寺本監督は76年生まれ。テレビ版「ドラえもん」などの演出に携わってきた。初監督作となる今回の映画で大事にしたのは、「のび太の優しさ」と言う。
「のび太は、ひとの気持ちを自分の気持ちみたいに感じられるから、美夜子のさみしさを受け止めて、彼女を助けてあげなきゃと思う。そんな心情をきちんと描こうと努めました」