事故機の手動ハンドルの仕組みのイメージ図
同調査委は同日夜、記者会見し、「人為的ミスとは考えられず、必要ならばボンバルディア社に設計変更を求める可能性もある」と話した。
国交省によると、事故が起きた機種は、前輪を下ろす仕組みが通常用と緊急用の2系統ある。
通常用は、操縦席にあるレバーを操作すると、油圧で作動する。前輪と脚を胴体下部に格納した部分のドアが開き、次いで前輪が下りる。
通常操作で出ない場合には緊急用の系統を使う。まず脚を動かす油圧のスイッチを切り、操縦室の床下にあるハンドルを上に引く。すると、金属製ケーブルと滑車でつながっている脚の格納ドアのロックが外れ、さらに引くと前輪が自然に下りる仕組みだという。
全日空によると、事故機の機長はまず通常の操作をしたが、前輪が下りていないという計器表示が出た。このため、緊急用の手動ハンドルを引いたが、ほとんど反応がなく、引っ張れなかった、と説明しているという。
調査委の調べでは、事故機の前輪の格納ドアは開いておらず、ロックがかかったままだった。
同社は脚の手動操作システムは、飛行時間4000時間ごとの重整備で点検すると規定している。事故機は2967時間でこれに達しておらず、05年7月に全日空に納入されて以降、作動させての点検は行われていなかった。
2月27日には整備士が脚回りを目視で点検したが、異常は見つからなかった。事故以前の飛行でもトラブルはなかったという。
この機種は双発プロペラ機で、全日空グループのエアーセントラルとエアーニッポンネットワーク、日本航空グループの日本エアコミューターが運航している。
事故を受けて国交省は13日夕、「耐空性改善通報(TCD)」を発出。国内で使われている同型機22機と、似た構造の前輪を装備しているDHC8—100〜300型14機の計36機について、前輪が正常に動くかどうかの作動点検を3日以内に行うように指示した。
各社は点検を進めており、9機を保有する日本エアコミューターは14日のダイヤに影響しないように終える見込み。13機を保有する全日空は、点検が終わらない分は欠航や、機種を変更して運航する。
http://www.asahi.com/national/update/0313/TKY200703130321.html