金融庁は手続きの不備について「故意ではなかった」としているが、私募ファンドからリートへの物件売却は近年、急速に増えており、処分は業界全体に警鐘を鳴らすものと言えそうだ。ダヴィンチを巡っては証券取引等監視委員会が先月、行政処分を出すよう金融庁に勧告していた。
ダヴィンチ・セレクトは私募ファンド大手のダヴィンチ・アドバイザーズの100%子会社。アドバイザーズ社は海外の機関投資家らの資金を元手に都心のオフィスビルを多数、購入している。
今回問題になったのはこの親会社の運用する私募ファンドが、子会社のセレクトが運用するリート「DAオフィス投資法人」に、東京などのオフィスビル5棟を転売した取引。セレクトはビルの評価を不動産鑑定業者に委託した際、水道光熱費や建物の維持管理費についての最新データの提供を怠るなど不適切な手続きで、2棟の価格を過大に評価していた。