機内の様子をつづった乗客のメモ
胴体着陸した全日空機から降りる乗客たち=13日、高知空港で、乗客提供
前輪が出ず、胴体着陸した飛行機=13日午前11時11分、高知空港で、本社機から
高知空港
乗客で大阪府吹田市の会社員野口哲也さん(38)は空港ターミナルで、「機長が着陸5分前、2分前、1分前とアナウンスしてくれたおかげで、安心できた。着陸した際には大きな衝撃はなく、地面をこする音が少し聞こえた。着陸直後には、機内で大きな拍手が起きました」。
大阪から高知へゴルフにきたという男性(70)は「機長がすばらしく、『日ごろ、訓練しているので、大丈夫です』とアナウンスがあり、乗客は冷静を取り戻したようです」と話した。
京都から出張で来た会社員の男性(55)は「前の方に座っていたが、到着の時は特に音もなく、いつもより静かなくらいだった。ただ、足元がぶるぶると振動し、胴体着陸したんだなと思った。乗客はみんな冷静で、悲鳴を上げる人もいなかった」と振り返る。「バスに乗って一息つき、やっとほっとした。仕事には遅れたが、死ぬよりはましです」と語った。
たびたび出張で伊丹—高知間のボンバルディア機を利用しているというIT会社員の蔵所佳範さん(34)=大阪府茨木市=は、以前乗ったボンバルディア機の松山便が伊丹に引き返した経験があり、「ボンバルディアはもう乗りたくない」と話した。
乗客は機体から降りた後、いったんターミナル内の荷物受取場で待機。ほとんどの人が携帯電話で家族らと連絡を取っていた。笑顔の人もいたが、疲れた様子で床に座り込む人もいた。
出張で大阪から来る弟を迎えにきていた高知市の女性(52)は、午前9時ごろから待っていたが、「遅れ」の表示が続き「おかしいな」と思っていたところ、航空会社の人から「胴体着陸するかもしれない」と伝えられ、泣いてしまった。無事到着後、弟から「大丈夫だよ」と電話が入ったという。
空港近くの駐車場運営会社の男性社員(28)は利用客を空港へ送迎中、サイレン音などで異変に気づいた。滑走路脇のフェンス越しに空港関係者ら20〜30人と見守り、無事着陸すると、「うまいですね」とお互い喜び合ったという。
男性は「これまでこの機体は修理が多く、欠航がたびたびあったので、事故が起きたら怖いなとは思っていた。胴体着陸だけでも大変なことだが、もし大惨事になっていたらと思うとぞっとする」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/0313/TKY200703130110.html