社会保険庁の分割・解体案
この日の閣議では、法案の決定とともに、安倍首相は第三者機関の設立や人選、国会対応を渡辺行革担当相が行うよう指示した。
法案によると、社保庁の年金業務は(1)年金制度の運営責任や特別会計の管理などは厚生労働省(2)保険料徴収や給付、年金記録管理などの業務全般は年金機構(3)徴収や給付などできるだけ多くの実務を民間委託——と大きく三つに分ける。さらに悪質な保険料滞納者について厚労相は、強制徴収の権限を国税庁長官に委任することができる。
年金機構と民間委託の業務の仕分けは、内閣官房の下に新たに設ける第三者機関「年金新組織改革推進会議」(仮称)が検討する。社保庁の医療部門については、中小企業向けの政府管掌健康保険組合(政管健保)の運営を08年10月に公法人の全国健康保険協会に移管、病院や診療所の指導監督は地方厚生局が担うことが決定済み。社保庁の業務は年金・医療両部門で計6分割されることになる。
社保庁の職員は一度退職し、第三者機関「職員採用審査会」(仮称)が、公法人に移る職員の採否を審査。不祥事で処分された職員らが「勤務実績が不良」と判断され、厚労省や他省庁への転任もできなかった場合は、本人の意思にかかわらず退職させる「分限免職」を実施する。