「衝撃は少なく、機内から拍手が起こった」。高知空港で胴体着陸に成功した全日空1603便。上空で2時間の旋回に耐えた乗客らが生々しく機内の様子を語った。
京都市の会社員の男性(25)は「知り合いが(1985年の)日航ジャンボ機事故で亡くなっているので、一瞬それが頭をよぎった」と話す。着陸の瞬間は「前輪がないとは思えないほど衝撃は少なかった」と振り返った。
前輪が出ないとのアナウンスがあったのは離陸から二十数分後。「ウイーン、ウイーン」という音が何度も足元から聞こえ、パイロットが格闘しているのが分かった。
約2時間にわたり空港上空を旋回した。窓の外には滑走路周辺に警察や消防の車両も。乗務員の指導で足を開いて踏ん張り、安全姿勢を取るように指示された。「ガリガリガリ」。胴体が接地した衝撃が体に響き、摩擦熱が伝わるころに機体が前傾で止まった。
兵庫県尼崎市の会社員の男性(58)は「前輪が下りないと機長からアナウンスがあったが、みんな冷静でパニックはなかった」と語り、「着陸の瞬間も大きな衝撃ではなく、機体が止まると、みんなが拍手をした」と、安堵(あんど)した表情を見せた。
大阪府茨木市の会社員の男性(34)は「どうなることかと思ったが、機長に任せるしかなく覚悟した。機長をはじめ、現場の方には感謝の気持ちでいっぱいだが、ボンバルディア機にはトラブルが多く、利用を考え直してほしい」と注文を付けた。
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ZAKZAK 2007/03/13