リハビリについて厚労省は昨年4月、脳卒中などが発症した直後の急性期や回復期は、医療保険で従来よりも集中的なリハビリが行えるように診療報酬を改定。一方で、失語症など一部の疾患を除いては医療保険でリハビリを行える日数に上限を設け、その後、機能を維持するためのリハビリは、介護保険で行うことにした。
しかし、医師や患者からは「一人ひとりの回復の可能性の違いを考慮していない」などの批判が続出しており、厚労省も制度改正の影響を検証する調査を実施した。2822の医療機関を対象とし、855施設から回答を得た。
全体では、8〜9割の患者が日数の上限前に効果が出てリハビリを終えていたか、日数制限の対象外となる疾患だったために医師が十分と判断するまでリハビリが続けられていた。
しかし心筋梗塞や狭心症では、「改善の見込みがある」と診断されていたのに日数制限のためリハビリを打ち切られた患者が109人中12人(11%)おり、関節の痛みや炎症では235人中32人(14%)に達した。脳卒中など脳血管系の疾患では319人中7人(2.2%)だった。
医療保険のリハビリ終了後は65%の患者が自宅で過ごすとしていたが、医師から介護保険のサービスを紹介された98人のうち46人(47%)は実際にはリハビリを継続する予定がなく、専門スタッフ不足などの課題を抱える介護保険のリハビリに、スムーズに移行できていない実態も浮き彫りとなった。骨折や関節系の疾患では、機能維持のリハビリが必要なのに40歳未満で介護保険が利用できない人も2%いた。
調査結果は12日午後の中央社会保険医療協議会(中医協)で公表する。厚労省は「日数制限は大筋では妥当だった」としながらも、心臓病などを日数制限の対象から外したり、リハビリの継続について医師の裁量権を強めたりすることを検討。医療のリハビリが必要なのに打ち切られてしまう患者を救済する方針だ。