記事登録
2007年03月12日(月) 00時00分

京都市景観規制13日に採決──頭悩ます各会派(3月12日)日経新聞

 建物の高さ規制強化などを柱とする京都市の景観政策を巡り、市議会の各会派が対応に頭を悩ませている。関連条例案は13日の本会議で可決される見通しだが、マンション住人らが「資産価値が下がる」と反発。議員らは「選挙で蒸し返されるのは困る」と戸惑う。古都ならではの政策論争は4月の統一地方選に微妙な影を落としそうだ。

 景観政策を巡っては「景観保持につながる」と賛成論がある一方で、高層階の住民らが「建て替えたら住めなくなる」「資産価値が下がる」と反対の声を上げている。今月1日には、反対派の不動産業者や住民らが政策撤回を求め約1万人の署名を市に提出した。

 市議会各会派で賛成を明確に表明したのは共産のみ。自民、公明、民主の与党会派は「100年先の京都の街を考えたら必要」との大枠では一致しているが、態度は必ずしもはっきりしない。ある自民市議は「修正点を盛り込んだ付帯決議を提出して賛成に回るなど、ぎりぎりまでベストの対応を考えたい」と慎重だ。

 背景には4月の統一地方選を見据えた思惑が見え隠れする。「景観政策を否決したら全国の笑いもの。とはいえ、原案通りの可決では有権者は納得しない」とある自民市議。別の市議も「選挙中に支持者から突っ込まれたら『最大限の配慮をした』と説明できるようにしておきたい」と打ち明ける。

 民主のある市議の元には「反対」を訴える支持者が相次ぎ陳情に訪れているといい、「選挙を控えたこんな時期に採決なんて……」と本音がのぞく。同会派も最終的に賛成に回ることになりそうだが、自民や民主の市議の間では「できればこの話題は選挙中に蒸し返されたくない」との声が漏れている。



http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/38854.html