米シティグループが日興コーディアルグループの子会社化を目指して実施するTOB(株式公開買い付け)について、同社株を約6.75%保有する英投資ファンド「オービス・インベストメント・マネジメント」が12日までに、シティが現時点で示しているTOB価格(1350円)では売却に応じない方針を新たに表明した。
これで、日興の大株主のうち、上位1位から4位までを占める欧米の投資ファンド4社すべてがTOB価格に不満を示したことになる。4社の保有比率を合計すると25%超になり、TOBの成否を左右する存在となっている。
シティのTOB価格に対しては、筆頭株主の米ハリス・アソシエイツが先週、反対の意向を表明したのに続き、米サウスイースタン・アセット・アメジメント、カナダのマッケンジー・グループも相次いで反対を表明していた。
いずれも日興株は2000円の価値があるなどとして、「シティが提示した1350円は受け入れられない」と主張している。日興の12日の終値は1404円で、TOB価格を上回って推移している。
シティは現在の保有分5%弱とTOBでの取得分を合わせ、日興株の過半数取得を目指している。このため、上位株主の4ファンドがTOBに応じない場合も、残りの株主が応じれば、TOBを成立させることは可能だ。
しかし、日興株の外国人持ち株比率は4ファンドも含めて60%超に達するとみられ、他の外国人株主も追随すれば、TOB成立は微妙な情勢となる。
日興株については、東京証券取引所が今週中にも上場廃止を決定する方向で、「最終的にはTOBに応じざるを得ない」(市場筋)との観測もある。ただ、利益を最大化させるのが投資ファンドの至上命題であることから、今後、買い取り価格をめぐりシティとこれらファンドの駆け引きが激しさを増しそうだ。
【日興コーディアルグループの上位株主】
ハリス・アソシエイツ 7.23%
オービス 6.75%
サウスイースタン 6.6%
マッケンジー 5.74% シティグループ 4.94%
ZAKZAK 2007/03/12