徳島市内の音楽愛好家らでつくる「エンゲルオーケストラ・合唱団」が演奏する。プロのバイオリン奏者で、板東収容所の捕虜だったパウル・エンゲルから付けた名で、エンゲルは、松江豊寿所長の理解を得て、徳島市内に出張して若者らに演奏を指導するなどしていた。
徳島収容所があったのは1914年から17年にかけて。当時、所内で発行されていた新聞「トクシマ・アンツァイガー」の一部が2005年に翻訳されたことで、徳島オーケストラが徳島収容所時代にも50回の演奏会を開くなど活発に活動していたことがわかった。
この翻訳は昨年3月、冊子にまとめられ、エンゲルオーケストラ・合唱団の代表を務める佐藤義忠さん(72)が徳島収容所時代の活躍をたたえようと企画が決まった。徳島収容所時代に演奏され、今回披露されるのは、ほかに「ラデッキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス)など。全体では13曲を演奏する。
メンバーは今、熱心に練習中で、佐藤さんは「徳島オーケストラの活動によって、ドイツ文化が徳島に広がっていった。丁寧に再現したい」と話している。