審査会は神経内科や精神科などの医師ら10人の委員と、専門委員8人で構成され、前会長の岡嶋透氏を会長とした。緒方さんらの審査結果を近く潮谷義子・熊本県知事に答申し、それを踏まえて知事が最終判断する。認定されれば99年以来、8年ぶり。
もう1人は、名古屋市在住の男性で、県の棄却処分を取り消す国の不服審査会の裁決を受けているが、再検査をした上で判断されるとみられる。
岡嶋会長は審査会の終了後会見し、現行の認定基準で審査する方針を示した上で「審査内容については申し上げられない」と述べた。
同県の認定審査会は公害健康被害補償法などに基づき、69年から再開前までに1万3153人を審査したが、認定したのは1731人。特に基準が厳しくなった77年以降は821人に過ぎない。棄却者は司法の場に救済を求め、04年10月の関西訴訟最高裁判決は、行政よりも幅広い救済を命じた。
その後、申請者が急増する一方、司法との「二重基準」が問題となって審査会は休止され、未処分者は3283人に達した。結局、審査会は認定基準を変更せずに、あくまでも現行の認定制度の枠組みを維持しようとする国の意向に沿う形で再開された。与党プロジェクトチームが棄却された人ら未認定患者を対象に新たな救済策をまとめる方針を示したことで、任期切れ後、再任に難色を示していた委員が県などの説得に応じた。
県は今後、2カ月に1回のペースで審査会を開く方針。だが、審査の基礎資料となる検診は、医師不足などで現状では年間120人程度が限界とされ、未処分者の審査が一気に進むことはない。
http://www.asahi.com/national/update/0310/SEB200703100009.html