逮捕容疑となった01、02年度の厚生科学研究費補助金を受給し研究事業を行った京都府内の大学の教授によると、同研究事業では教授の下に中村容疑者の部下を含む8人の分担研究者が参加した。しかし、いずれも研究前に同省側が参加メンバーを選定しており、教授側には、旧知の厚労省職員から主任研究者になるよう要請があったという。
関係者によると、研究事業に支給された補助金は、多くの場合、分担研究者の側で満額が使い切られ、余剰分が返還されることはほとんどないという。各研究者が懇意の業者に協力を依頼し、余剰分が出ないよう備品の購入などで調整する場合もあるとされる。事件の舞台となった研究事業について、大学教授は「分担研究者に配分した研究費はすべて使い切り、余剰金として返還されたものはなかった」と話す。
中村容疑者は出向前、同省で補助金の交付業務にかかわっており、こうした仕組みや慣例を熟知していたことが、補助金を詐取しようと企てた背景にあると警視庁はみている。
中村容疑者が鹿児島県保健福祉部長に出向していた間、同容疑者本人と同部職員が分担研究者となって補助金を受けた研究事業が、逮捕容疑以外にも2件あった。捜査2課は、これらの研究事業でも余剰分の詐取行為がなかったか、慎重に捜査を進めている。
http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY200703100196.html