審査会は神経内科や精神科などの医師ら10人の委員と、専門委員8人で構成する。この日は、国の不服審査会から熊本県の棄却処分を取り消す裁決を受けた同県水俣市の緒方正実さん(49)ら2人を審査した。近く審査結果を潮谷義子知事に答申し、それを踏まえて知事が最終判断する。
行政の認定基準は複数の症状の組み合わせを必要とする。一方、最高裁判決は一定の条件を満たせば感覚障害だけでも救済を命じた。このため、審査会の判断が裁判で覆る可能性があるとして、04年10月で任期が切れた委員らは再任を拒否。審査会は休止し、国や県が委員を説得してきた。
ただ、再開後の審査会も行政基準で審査するため、多くの人は棄却される可能性が高い。与党が6月中に取りまとめる方針の救済策は、こうした人たちが対象で、委員から実現を強く期待する声があるという。
同県の未処分者は9日現在、3283人。県は今後、2カ月に1回のペースで審査会を開く方針。だが、審査の基礎資料となる検診の態勢などが不十分で、認定審査が一気に進むことはない。
http://www.asahi.com/national/update/0310/SEB200703100009.html