記事登録
2007年03月10日(土) 00時00分

東京大空襲から62年  『被害実態知らせなくては』 東京新聞

 九日、東京大空襲の集団訴訟を東京地裁に起こした原告団を、世話人として陰で支えている女性がいる。神奈川県相模原市のパート中村道子さん(65)。戦争の記憶はほとんどないが、空襲被害の実態を知って、原告団に飛び込んだ。「もっとたくさんの人に知らせなくては」と思いを強めている。 (原昌志)

 きっかけは、東京空襲犠牲者遺族会副会長で訴訟原告団事務局長の野上秀雄さんに声をかけられたこと。もともと中村さんと野上さんは、東海道五十三次を歩く「東海道ネットワークの会21」の仲間だった。

 一昨年、港区の六本木ヒルズで開かれた「大空襲展」を手伝い、そのまま訴訟を準備していた遺族会の活動を支援するようになった。

 中村さんは大田区出身で、幼少時に防空壕(ごう)へ避難した記憶がおぼろげにある。ただ、一夜にして十万人の命を奪ったとされる大空襲は、どこか遠い事実だった。

 「知識はあっても、空襲の被害がこれだけひどいとは、恥ずかしいことに知りませんでした」。何げなく渡る言問橋が、逃げまどう人であふれかえり、川面が死体で埋め尽くされたという事実に衝撃を受けた。

 今、原告団の集会や街頭活動にはほぼ欠かさず参加し、記録写真を撮る役目を引き受けている。

 「みなさんが事実を世の中に発信しようと頑張っている。私のように知らなかった人にも共感を広げたい」。十日は、墨田区の都慰霊堂で開かれる大法要に出向き、原告団支援を訴えるビラ配りに参加する予定だ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070310/lcl_____tko_____002.shtml