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2007年03月09日(金) 23時04分

大阪大空襲の被災者、国に補償求め署名活動朝日新聞

 62年前の3月13日にあった「大阪大空襲」などで身体に障害を負った被災者たちが9日、国に損害補償と謝罪を求める署名活動を始めた。旧軍人や被爆者たちへの補償や援護の仕組みはあるが、空襲で死亡したり、重い障害を負ったりした一般戦災者にはない。「このまま黙って死ぬことはできない」。署名活動は8月まで続けられ、終戦記念日に厚生労働相に提出する予定だ。

街頭で署名活動する「大阪戦災障害者・遺族の会」のメンバーたち。今回が最後の活動になりそうだという=9日午後、大阪市天王寺区で

 署名活動を始めた被災者は、小見山重吉さん(76)=大阪市西成区=、藤原まり子さん(61)=大阪市東住吉区=、小林英子さん(73)=兵庫県西宮市=、安野(あんの)輝子さん(67)=堺市西区=の4人。ボランティアの学生らとともに、大阪市のJR天王寺駅前で補償制度の整備を訴えながら署名を募った。

 安野さんを除く3人は約50万人が家を失い、約7000人が亡くなったとされる大阪大空襲で被災した。

 小見山さんは顔と手足を焼夷弾(しょういだん)で焼かれ、生後2時間だった藤原さんも左足を焼かれた。小林さんは右ひざに鉄の破片が直撃し、4度の手術を重ねた。鹿児島県で空襲に遭った安野さんは、爆弾の破片で左足のひざから下を奪われた。

 「戦争の記憶はどんどん風化している」と小見山さんは言う。「私たちが生きている今だからこそ、あらためて戦争の悲惨さを訴えるとともに、『銃後』と言われた被災者でも対等に補償を受けられる世の中にしたい」

 約10万人が一夜のうちに死亡したとされる東京大空襲では、被災者や遺族112人が、国に総額約12億円の損害賠償と謝罪を求め、9日に東京地裁に集団提訴した。小見山さんたちも、いずれ国を提訴する考えだという。

http://www.asahi.com/national/update/0309/OSK200703090100.html